T NPOとは何か
NPOとは「Non Profit Oragnaization」の略称で「利益を目的としない団体」のことを言います。具体的には、農協、生協、労働組合、公益法人、財団法人、社団法人、ボランティア団体などを総括して表す言葉です。
そのなかで特に「特定非営利活動促進法」(平成十年三月二十五日法律第七号)の定めるところにより法人格を取得した団体のことを「特定非営利活動法人」(NPO法人)と言います。
U営利と非営利
   NPO法人の条件として、非営利性があげられます。よく誤解されますが、営利と費用はことなります。営利とは団体の利益を構成員(NPO法人の場合は役員)が分配することをいいます。株式会社の場合ですと株主への配当と同じです。
誤解されているケースで一番多いのが職員への給与があります。これは、費用であり、営利にはあたりません。
 
  V NPO法人のメリットとデメリット  
   法人格を取得することにより、以下のようなメリットとデメリットがあります。
メリット
(1)契約主体が法人となる
  ・金融機関や事務所の賃貸契約、車両などの購入などの契約者が法人となります。
(2)社会的信用度のアップ
  ・個人の事業から「法人」として継続的な事業を行なえる団体として認識されます
  ・お金の請求がしやすい
  ・公共的な団体からの受注がしやすいなどがあります。
(3)メンバーのモラルアップ
・デメリット
(1)解散時に財産が分配できない
(2)事務処理がやや面倒
 
  W 設立に必要な要件  
   NPO法人の設立には以下の要件が必要になります。
No. 要             件 
@  特定非営利活動を行うことを主たる目的とすること
A  営利を目的としないこと
B  宗教活動、政治活動を主たる目的としないこと
C  特定の公職の候補者等や政党を推薦・支持すること、または反対することを目的としないこと
D  特定の個人又は法人その他の団体の利益を目的として、その事業を行なわないこと
E  特定の政党のためにNPO法人を利用しないこと
F  特定非営利活動に係る事業に支障を生じるほどその他の事業を行なわず、また、その他の事業で生じた収益は、これを当該特定非営利活動に係る事業のために使用すること
G  暴力団でないこと、暴力団または暴力団の構成員等の統制の下にある団体でないこと
H  社員(総会で議決権を持つ会員、正会員)の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと
I  10人以上の社員がいること
J  役員として・人以上の理事と1人以上の監事がいること
K  役員(理事・監事)のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること
L  役員は、成年被後見人や被保佐人などの役員の欠格事由に該当していないこと
M  それぞれの役員について、その配偶者若しくは三親等以内の親族は2人以上いないこと。また、各役員並びにその配偶者及び三親等以内の親族の数が、役員総数の3分の1を超えていないこと
 
  X 設立の手順  
   設立の手順は概ね以下のようになります。
(1)事前準備
 ・立上げのメンバーと法人化の目的と意思の確認
 ・事業内容と予算の検討
 ・設立に必要なメンバーと役員を決める
 ・設立趣旨書、定款などを作成する。
(2)設立総会
 ・総会の招集
 ・総会の開催と決議、議事録の作成
(3)認証申請の書類の作成
 申請にあたり以下の書類を作成します。
No.  
 役員名簿(役員の氏名及び住所または居所ならびに各役員について報酬の有無を記載した名簿)
 各役員がNPO法第20条各号(注1)に該当しないことおよび第21条の規定に違反しないことを誓約し、ならびに就任を承諾する書面の謄本
 各役員の住所または居所を証する書面
 社員のうち10人以上の者の氏名及び住所または居所を記載した書面
 団体が、第2条第2項第2号及び第12条第1項第3号に該当することを確認した書面(確認書)
E  設立趣旨書
F  設立についての意思の決定を証する議事録の謄本
G  設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書
H  設立当初の事業年度及び翌事業年度の収支予算書
I  定款 
(4)認証申請
 所轄庁に認証の申請をおこないます。事務所の所在地が一都道府県の場合は事務所所在地のある都道府県、事務所の所在地が複数の都道府県の場合には内閣府が所轄庁になります。
(5)認証/不認証の決定
 申請の受理から4ヶ月以内に認証または不認証の通知がされます。
(6)登記
 認証通知を受け取ってから、法人登記を主たる事務所所在地を管轄する法務局で登記します(2週間以内)。また、従たる事務所を管轄する法務局には3週間似ないに登記を行ないます。
(7)登記完了報告
 登記が完了した後、所轄庁に登記の完了報告を行ないます。
 
  Y 設立後の届出等   
 
届出等  内容   届出時期 届出先 
 事業報告書 毎年の事業内容について  決算終了後3ヶ月以内  所轄庁 
 役員変更届 役員の変更があった場合
※任期満了、再任の場合も必要
変更後速やかに   
 定款変更届出書 定款の軽微な事項の変更があった場合に届出る
※軽微な事項とは以下の内容です。
 ・事務所の所在地の変更(所轄庁の変更がない場合)
 ・資産に関する事項
 ・広告の方法
変更後速やかに   
 定款変更認証申請書 定款の軽微な事項以外の変更を行う場合におこなう  変更を希望するとき   
 収益事業開始届出書 収益事業を開始した場合  開始の日から2カ月以内  税務署 
労働保険関係の手続き 従業者を雇用した時に労災及び雇用保険に関する手続  適用開始から10日以内  労働基準監督署
 
   Z その他  
   NPO法人も設立後は、税法、労働法、社会保険法等は一般の営利企業と同じように適用を受けることになります。これらの法律に沿った運営が必要になります。また、NPO法人といえどもある程度の経営戦略が必要になります。